宇治市を基地のない平和なまちに ~ 憲法9条を守る運動から平和をつくる運動へ
by ujimuboubi
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精華町平和・自治基本条例-精華町長の意見
精華町平和・自治基本条例 (案)意見書
申すまでもなく、そもそも地方公共団体における条例とは、地方自治法第14条第2項において、法令に違反しない限りにおいて、第2条第2項の事務,すなわち自治事務及び法定受託事務に関し制定することができるとされております。 本条例案は。前文、第1条から第15条まで、及び、附則により構成されており、その目的として、日本国憲法の平和主義、地方自治の原則,ジュネーブ諸条約及び追加議定書などの国際人道法に基づき、住民の平和的生存権を保障し、人間としての基本的な権利と豊かな生活の維持の実現について定めようとするものであります。
一方、本町におきましては、昭和62年12月に精華町議会の議決を経て「非核・平和都市宣言」を行っており、その中で、日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念を町民生活に生かし、子々孫々に継承する姿勢を明らかにしております。この宣言を受け、本町では、町議会をはじめ、各種団体の皆様と実行委員会形式で,毎年、精華町平和祭典を開催するなど、恒久平和に向けた平和施策の推進に努めてきております。
さらに、平成14年6月には同じく議会の議決を経て、「住民主体のまちづくり」を高く掲げた第4次総合計画基本構想を策定するなどしており、改めて本条例案により平和と自治に関する基本条例を定める必要はないと考えております。
それでは、必要でないとする理由について,具体的に説明させていただきます。
まず第1の理由といたしましては、本条例案第3条で規定する平和的生存権については我が国の最高法規である日本国憲法の前文において、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と明記されており、新たに条例による規定を設けるまでもないという点でございます。
第2の理由といたしましては、本条例案第4条で規定する祝園弾薬庫の撤去について、でございますが、私自身、この間、議会の中でも弾薬庫の存在について問われ、「関西文化学術研究都市の中心都市であります本町にとって弾薬庫はふさわしい施設ではありません」とお答えしてきました。
また、今後の学研都市の発展に伴って、基地との共存はますます難くなっていくと考えておりますが、国の法律に基づいて設置された施設を地方公共団体の条例によって撤去に努めるよう定めることは、法的に不可能という点でございます。
第3の理由といたしましては、本条例案第5条で規定する無防備地域の宣言が、地方公共団体の権能を超えるという点でございます。
まず、1949年8月12日のジュネーブ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書、いわゆるジュネ一ブ諸条約第1追加議定書第59条において、無防備地域の宣言を行うには、本条例案第5条第2項の4つの条件すべてを本町として満たす必要がありますが、これらはすべて本町の権限に属するものではありません。
そもそも、現行の武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法のもとでは、自然災害への対処とは異なり、武力攻撃事態等において地方公共団体は国の指示を受けて国民の保護のための措置を実施することになっております。具体的には、国からの避難措置の指示、救援の指示、武力攻撃災害への対処の指示等を受け、本町は住民の避難誘導や救援協力、消防や応急措置等にあたることとされており、国及び府と連帯協力して住民の生活、身体及び財産を保護する責務を負っております。
このように国との連帯協力義務を負った状況下にあって、本町が無防備地域の宣言を行う主体になりえるのかという問題について、ジュネーブ諸条約第1追加議定書に加入した当事者であります国は、「我が国においては、国において行われるべきものであり、地方公共団体がこの条約の『無防備地域』の宣言を行うことはできません」という見解を示していることから、本町がこの宣言を行うことは、実質的な効力を有しないものと考えております。
第4の理由といたしましては、本条例案第11条で規定する子どもの権利に関します第1項につきまして、我が国では、憲法第98条第2項において、日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とするとあることから、児童の権利に関する条約をはじめとする国際法は、公布と同時に国内法秩序に直接適用されるものとされ、かつ、地方公共団体の条例は国内法の体系に属するものでありますことから、条約に定める子どもの権利の保障規定のみを、あえて条例で定める必要性がないという点であります。
また、第2項につきましても、本町は、昭和43年の「こどもを守る町宣言」に基づき、保育における待機児ゼロ政策や学童保育の充実、さらには障害児の保育や教育に力を注ぐなど、きめ細やかな施策の充実をこれまで展開してきたという類稀 (たぐいまれ)な歴史的経過があるという点であります。
第5の理由といたしましては、本条例案第14条で規定するまちづくり総合計画については、本町は昭和52年以来これまでに地方自治法第2条第4項に基づく基本構想を4次にわたり策定してきていること、また。平成13年には精華町総合計画審議会設置条例を改正し、公募による一般住民の参画を実現したことを皮切りに、各種の計画策定においても、住民参画を基本とした審議会や委員会等の設置及び運営に努めてきていることとの整合が図れなくなる点でありまず。
以上のとおり、本条例案を制定することは、その必要性及び有効性が認められず、また、憲法や地方自治法をはじめとする関係法律に抵触するおそれがあるだけでなく、本町の関係条例との整合も図れないものでございますため、適当ではないと考えております。 しかしながら、今回、有効な署名をされた1,266名の皆様に対しましては、国際平和を願い、平和で安心して暮らせる学研都市精華町のまちづくりに対する熱い想いを持たれてのことと理解をしておりまして、これを重く受け止めるものであります。
その上で、私は,署名をされた皆様の思いに応えるべく、条例の制定によらずとも、平和と自治のまちづくりは可能であると考えております。すなわち、本町の将来像の基本理念であります「人、自然、科学を結ぶ学研都市精華町」の実現に向け、今後も町民の皆様とともに、憲法に定める平和主義と国際協調主義の原則と「非核・平和都市宣言」に基づいた平和施策の推進に努めるとともに、「住民主体のまちづくり」の視点にたった地方自治の発展に努めることは可能であると考えているからでございます。
特に、自治のまちづくりに関しまして、本条例案第10条で情報公開についての規定がございますが、本町ではこれまでも政策形成過程における情報提供の促進を図るため、平成15年8月に近隣自治体に先駆けてバプリックコメント制度を導入するとともに、本年1月には審議会等の会議の公開に関する指針を策定するなど、充実に向けまさに実践中であります。
また、本条例案第12条に規定するコミュニティーについては、本町では学研都市建設に伴う大規模な住宅開発にあっても、自治会をまちづくりの基礎単位とし、一自治会一集会所整備の原点に立った住民自治の基盤づくりに努めるなど、コミュニティー施策の充実に努めてきたと自負しているものであります。
こうした本町の実情をふまえ、先に説明申し上げた5つの理由のとおり、本条例案に対する反対の意見を附けるものです。
平成20年12月15日
精華町長 木村要
申すまでもなく、そもそも地方公共団体における条例とは、地方自治法第14条第2項において、法令に違反しない限りにおいて、第2条第2項の事務,すなわち自治事務及び法定受託事務に関し制定することができるとされております。 本条例案は。前文、第1条から第15条まで、及び、附則により構成されており、その目的として、日本国憲法の平和主義、地方自治の原則,ジュネーブ諸条約及び追加議定書などの国際人道法に基づき、住民の平和的生存権を保障し、人間としての基本的な権利と豊かな生活の維持の実現について定めようとするものであります。
一方、本町におきましては、昭和62年12月に精華町議会の議決を経て「非核・平和都市宣言」を行っており、その中で、日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念を町民生活に生かし、子々孫々に継承する姿勢を明らかにしております。この宣言を受け、本町では、町議会をはじめ、各種団体の皆様と実行委員会形式で,毎年、精華町平和祭典を開催するなど、恒久平和に向けた平和施策の推進に努めてきております。
さらに、平成14年6月には同じく議会の議決を経て、「住民主体のまちづくり」を高く掲げた第4次総合計画基本構想を策定するなどしており、改めて本条例案により平和と自治に関する基本条例を定める必要はないと考えております。
それでは、必要でないとする理由について,具体的に説明させていただきます。
まず第1の理由といたしましては、本条例案第3条で規定する平和的生存権については我が国の最高法規である日本国憲法の前文において、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と明記されており、新たに条例による規定を設けるまでもないという点でございます。
第2の理由といたしましては、本条例案第4条で規定する祝園弾薬庫の撤去について、でございますが、私自身、この間、議会の中でも弾薬庫の存在について問われ、「関西文化学術研究都市の中心都市であります本町にとって弾薬庫はふさわしい施設ではありません」とお答えしてきました。
また、今後の学研都市の発展に伴って、基地との共存はますます難くなっていくと考えておりますが、国の法律に基づいて設置された施設を地方公共団体の条例によって撤去に努めるよう定めることは、法的に不可能という点でございます。
第3の理由といたしましては、本条例案第5条で規定する無防備地域の宣言が、地方公共団体の権能を超えるという点でございます。
まず、1949年8月12日のジュネーブ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書、いわゆるジュネ一ブ諸条約第1追加議定書第59条において、無防備地域の宣言を行うには、本条例案第5条第2項の4つの条件すべてを本町として満たす必要がありますが、これらはすべて本町の権限に属するものではありません。
そもそも、現行の武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法のもとでは、自然災害への対処とは異なり、武力攻撃事態等において地方公共団体は国の指示を受けて国民の保護のための措置を実施することになっております。具体的には、国からの避難措置の指示、救援の指示、武力攻撃災害への対処の指示等を受け、本町は住民の避難誘導や救援協力、消防や応急措置等にあたることとされており、国及び府と連帯協力して住民の生活、身体及び財産を保護する責務を負っております。
このように国との連帯協力義務を負った状況下にあって、本町が無防備地域の宣言を行う主体になりえるのかという問題について、ジュネーブ諸条約第1追加議定書に加入した当事者であります国は、「我が国においては、国において行われるべきものであり、地方公共団体がこの条約の『無防備地域』の宣言を行うことはできません」という見解を示していることから、本町がこの宣言を行うことは、実質的な効力を有しないものと考えております。
第4の理由といたしましては、本条例案第11条で規定する子どもの権利に関します第1項につきまして、我が国では、憲法第98条第2項において、日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とするとあることから、児童の権利に関する条約をはじめとする国際法は、公布と同時に国内法秩序に直接適用されるものとされ、かつ、地方公共団体の条例は国内法の体系に属するものでありますことから、条約に定める子どもの権利の保障規定のみを、あえて条例で定める必要性がないという点であります。
また、第2項につきましても、本町は、昭和43年の「こどもを守る町宣言」に基づき、保育における待機児ゼロ政策や学童保育の充実、さらには障害児の保育や教育に力を注ぐなど、きめ細やかな施策の充実をこれまで展開してきたという類稀 (たぐいまれ)な歴史的経過があるという点であります。
第5の理由といたしましては、本条例案第14条で規定するまちづくり総合計画については、本町は昭和52年以来これまでに地方自治法第2条第4項に基づく基本構想を4次にわたり策定してきていること、また。平成13年には精華町総合計画審議会設置条例を改正し、公募による一般住民の参画を実現したことを皮切りに、各種の計画策定においても、住民参画を基本とした審議会や委員会等の設置及び運営に努めてきていることとの整合が図れなくなる点でありまず。
以上のとおり、本条例案を制定することは、その必要性及び有効性が認められず、また、憲法や地方自治法をはじめとする関係法律に抵触するおそれがあるだけでなく、本町の関係条例との整合も図れないものでございますため、適当ではないと考えております。 しかしながら、今回、有効な署名をされた1,266名の皆様に対しましては、国際平和を願い、平和で安心して暮らせる学研都市精華町のまちづくりに対する熱い想いを持たれてのことと理解をしておりまして、これを重く受け止めるものであります。
その上で、私は,署名をされた皆様の思いに応えるべく、条例の制定によらずとも、平和と自治のまちづくりは可能であると考えております。すなわち、本町の将来像の基本理念であります「人、自然、科学を結ぶ学研都市精華町」の実現に向け、今後も町民の皆様とともに、憲法に定める平和主義と国際協調主義の原則と「非核・平和都市宣言」に基づいた平和施策の推進に努めるとともに、「住民主体のまちづくり」の視点にたった地方自治の発展に努めることは可能であると考えているからでございます。
特に、自治のまちづくりに関しまして、本条例案第10条で情報公開についての規定がございますが、本町ではこれまでも政策形成過程における情報提供の促進を図るため、平成15年8月に近隣自治体に先駆けてバプリックコメント制度を導入するとともに、本年1月には審議会等の会議の公開に関する指針を策定するなど、充実に向けまさに実践中であります。
また、本条例案第12条に規定するコミュニティーについては、本町では学研都市建設に伴う大規模な住宅開発にあっても、自治会をまちづくりの基礎単位とし、一自治会一集会所整備の原点に立った住民自治の基盤づくりに努めるなど、コミュニティー施策の充実に努めてきたと自負しているものであります。
こうした本町の実情をふまえ、先に説明申し上げた5つの理由のとおり、本条例案に対する反対の意見を附けるものです。
平成20年12月15日
精華町長 木村要
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| 2008-12-15 23:07
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